• こころ館研究員

ママ達のオープンな対話と学びを学校で。


|ママ達の学び場 

みなさんは、学校は子ども達だけが学ぶ場所だと思っていませんか?

こころ館の代表松原がセラピストとして小学校に所属するようになり、11年目を迎えます。「お母さん達の学び場を学校につくりたい!」という長年の松原の想いが実現し、「ママ朝カフェ」という母親向けの連続講座が小学校でスタートしています。

9月からスタートしたこの講座は、今回で2回目となります。月に1度のペースで5回にわたって実施していきます。受講されているお母さんは全員で16名、忙しい日常から少し離れて、自分の子育てについて見つめ直す、マインドフルな時間を持っていただきたいと考えています。

 今回は体調不良で3名の方が欠席され、13名のお母さん達で講座はスタートしました。


 「ママ朝カフェ」では、自分の正直な気持ちを言葉にすること、また相手の気持ちに寄り添うように話を聴くことがルールとなっています。

 全5回を通して、お母さん達と学んでいくテーマは「過干渉」です。

よく「過保護と過干渉の違いが分からない」というお母さんが多いのですが、「過保護」は子どもが望んでいることをしてしまうことで、「過干渉」は子どもが望んでいないことまでやってしまうことです。子どもが望んでいないことをやり過ぎてしまうため、子どもが自分の意思で行動できなくなってしまい、「自分がない」状態となってしまうといわれています。親の過干渉が子どもに与える影響

 またほとんどの親が、過干渉になっていることに気づいていません。愛する我が子のためにと頑張っているお母さんが多いのも「過干渉」の特徴です。

 近年過干渉人口が増加傾向にあると言われています。3人に1人が、「子どもへの過干渉が原因で自己嫌悪を抱いた経験がある」子育て・見守りに関する調査” 主体セントラル警備保障株式会社)というデータも出ており、こころ館でも独自で調査を始めていますが、自分は過干渉だと思うと答えた方が、調査の結果50%を上回りました。過干渉を自覚しているお母さんが多いのは少し驚きです。


|えっ?私って過干渉?

そこで、今回の講座では、過干渉ダイアログを実施しました。

今回は「えんたくん」という円形のダンボールを使用し対話を行っていただきました。「えんたくん」は、椅子に座っても床に座っていても向き合って対話できる「円卓」として考案され、東京工業大学教授の中野民生先生が、大学の授業やワークショップなどで使用したことで広く使われるようになったものです。


 準備が整ったところで、お母さん達には4〜5名のグループに分かれていただきダイアログをスタートしました。まずは、自分が無意識にしている過干渉について気づくための問いに答えていただきシェアタイムを設けました。

問1「あなたがしている過干渉について考えてみましょう」

受講生のお母さん達が共通してお答えになったのはこの3つでした。

  • 子どもの意思は無視して、自分が決めた習い事をさせている

  • 子どもの持ち物や洋服は、全部自分が決めてしまう

  • 宿題のチェックや次の日の準備を、子どもがする前に自分がしてしまう 

問2「その結果10年後子どもはどのように成長しているでしょうか」

  • 親に聞かないと自分では何も決められない

  • 自主性がない

  • 気持ちを抑え続けた結果、溜め込んだ気持ちを爆発してしまうかもしれない

 問1で自分の過干渉について考えたからか、10年後の我が子の姿をリアルに想像しながらグループで対話を深めておられました。

「えっ!まさかわたしって過干渉だったの」と驚きを隠せないお母さんたち。でも、これは自分だけの課題ではなく、子どもを育てる親ならば誰もが陥ってしまう課題なのだと、お母さん同士の深い共感が起こっていました。

|お手伝いは成功への近道?

 最後に、イギリスの教育者ジュリー・リスコット・ヘイムスによるTedでのプレゼンテーション『成功する子の育て方』を視聴していただきました。

Tedの中でジュリーは「思い通りにしようとするのが子育てではありません。自分の力でたくましく生きていけるようサポートをするのが親の役目です。」と話し、お手伝いをさせることが成功の鍵である」と述べていました。

ジュリーがお手伝いを推奨するのは、相手の役に立つこと、人の気持ちを汲みとる能力が培われるからです。また、お手伝いをすることで愛情を育むことができるとも述べています。他者や親への愛情が、お手伝いをすることにより育むことができるとジュリーは言います。最後に「家事を通じて子どもを強くすることと 、他者を愛し愛を受け止められる子になるよう子どもを愛すること。(中略) 私達の役目は自分が仕向けたとおりの子どもを育てることではなく、子どもが自ら輝いていくのをサポートすることです」と締めくくり、本当にそれこそが「成功する子の育て方」であると伝えていました。


視聴後「タイトルを見て、いい大学、いい就職をするためのノウハウを知るためのプレゼンテーションかと思ったら、全く違うお話だったので驚きました。」という率直な感想がお母さんから出ていました。

本来の自分をさらけ出す空間

 講座の最後のふり返りでは、初参加されたお母さんから「私はこれまで、カタチばかりを追い求め、人の目を気にして生きてきました。学歴・経済的に恵まれた生活など、自分が欲しいものを手に入れてきました。でも私は今、本当に幸せと言えるのだろうかと考えさせられました。モノやカタチだけではない幸せがあるはずだと分かっています。それなのに私は、子どもに自分と同じようにカタチばかりを追い求めるような生き方を教えてしまっていたのかもしれません・・・。

今日の講座に参加して、子どもには嫌なことも含め、自分の感情をないがしろにしない生き方をして欲しいと思いました。それが、自分らしい幸せを見つける方法ではないかと思うのです。」と本心を正直にさらけ出されていました。


 最後に松原から「今日はみなさんが、真摯に自分と向き合っておられる姿にとても感動しました。私たち親は、我が子を無条件に愛しています。誰も過干渉になりたくてなっている訳ではないと思うのです。子どもの幸せを考え手を差し伸べている間に、いつしか自分でも気づかぬうちに過干渉になってしまっていることが多いのではないでしょうか。子育てについて、一人で考えていても答えが見つからないことって多いと思います。だからこそ、母親が子育てについて学ぶ場が必要だと私は考えています。

自分とは違う考え方を持つお母さんの意見を聞くことは、明日からの自分の子育てのヒントになると思います。」と話し、2回目の講座を終了しました。

 こころ館では、この学校での取り組み事例に「過干渉」について考える機会を、他の学校でも実施していきたいと考えております。母親同士が、子育てについて飾らず本音で語り合える場を届けることで、子どもの本来持つ可能性を育むことができる社会を実現していければと考えています。



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