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とよのわたし研究室(第2期)総集編レポート|中編

豊能町とこころ館の共同プロジェクト「とよのわたし研究室」第2期について、3回連続で特集するこのシリーズ。

講座をご紹介した前編に引き続き、今回は11月16日に開催した「第2回 とよのわたし研究室 研究テーマ発表会」の様子をお伝えしたいと思います。

わたし研究室では、 これから叶えたい未来であるMISSIONのことを「研究テーマ」と呼んでいます。わたし研究を通して発見した「研究テーマ」や、そこに至るまでのストーリーを語る場が、この「研究テーマ発表会」なのです。

会場には、研究生のご家族や地元の方々、町役場の職員さん、企業関係者の方々、1期生のみなさんなど、地域内外から56名もの来場者が集まっていました。

そして、今年度も8名のゲストメッセンジャーをお招きし、研究生の発表に温かいメッセージをいただくことができました。


ゲストメッセンジャーのみなさま

それでは、研究生のみなさんの発表内容を、一部ご紹介したいと思います。

おひとり目は、家族や職場の人間関係に恵まれながらも、本当にやってみたいことは打ち明けられずにいたというAさん。「やってみたいこと」と向き合い、どうしたら実現できるかを考えられる機会になればと、わたし研究に参加して下さったそうです。


わたし研究では、自分の気持ちを伝える場面がたくさんあったのが印象的だった、とAさんは語ります。「最初は他の受講生の方がとても上手に気持ちを伝えられていて、『わたしはみんなみたいに上手くできない』、『こんなこと言ったら変かな?笑われるかな?』と構えていた」というAさんですが、思い切って正直な気持ちを話してみたところ、他の研究生から大きな共感を得られ、安心感と自信をもらったといいます。


Aさんのやりたいこととは、ご両親が亡くなって空き家になった実家を手直しし、「誰かがやりたいことをやれる場所」として活用できたら、というものでした。


一緒にご飯を作ったり、ただおしゃべりしたり、何かをやってみたいと思う人が気軽にチャレンジできる場所をつくりたい。


わたし研究をきっかけに、その思いをご家族や身近な人に打ち明けたところ、「それいいやん!」と思わぬ好反応を得られたのだそうです。


動き出したら早いもので、ご家族の絶大な協力のもと、すでに半分以上の改装が終わっているとのこと。「みんなのやりたいを叶える拠点をつくる」を研究テーマに、自分もみんなもイキイキ・ワクワクできる場所を作っていきたいと朗らかに語られておりました。


豊能町出身で、まちづくりの実践家でもある京都大学・吉田先生は、「地元でいかに拠点を作れるかがこれからのまちづくりの課題。そんななかで、行政から『つくってください』と頼むのではなく、自ら『やってみたい』という声があがるのは本当に大事なことです。こんな生まれ方をする拠点づくりがあるんだなぁ、上手くいくといいなぁと思いました」とコメントされ、拠点づくりの今後に大きく期待を寄せられているようでした。


Aさんの他にも、研究生のみなさんの中には「自宅の庭先でご近所と交流できるカフェがしたい」、「図書館を使った場づくりがしたい」など、地域の拠点づくりを研究テーマに掲げる方が複数名いらっしゃいました。このように、ご自身のやりたいことが、地域からも歓迎されるテーマになっているという関係性は、とても幸せな構図だと感じます。


続いて、11歳・6歳・2歳の三姉妹のお母さんである専業主婦のBさん。子育てに追われる日々で、イライラ・クタクタの毎日を過ごし、「こんな私が育児をしていてはだめなのではないか」と自信を失っていたといいます。そんな時に「とよのわたし研究室」のパンフレットが目にとまり、自分を変えたい一心で、講座への参加を決めたのだそうです。


回を重ねるごとに「日常生活の中で感情が動くと、なぜ今私はこういう気持ちになったのだろうか、この気持ちを方向転換させるにはどう考えたら良いかと、自分の感情に意識を向けて探ることが常となりました」と語るBさん。今までしてこなかった、思ったことを言葉にするという体験を通して、ご自身の感情がほどかれて整頓されていくことを実感したと言います。


そんな中で、「育児が上手くいっていなかったのではなく、わたし自身が、自分を嫌になったり責めることで精神を保っていたのだと気づいた」というBさん、気づけば、それまで大変だと思ってきた育児が、大きな問題ではなくなっていたそうです。


ため込んでいた感情を吐き出し、自分を深掘りすることで、「これまで気づいていなかった自分の感情を知り、正直な自分をさらけ出す場所ができた」と語るBさん。そんな場所が誰にでもあってほしいと強く思うようになったと言います。

そんなBさんが、わたし研究を終えて掲げた研究テーマは「”わたしが変われば、地域が変わる。”を広めるお手伝い」でした。


「これまでのわたしのように、無意識に自分の感情を抑えてしまっているのに、こんなものだろうと毎日を過ごしている方は多くいらっしゃるような気がします」と語るBさん。「これまでは自分の生活のことでいっぱいいっぱいだった私ですが、わたしが変われば、地域が変わる! 豊能町で自分らしく生きる人を増やすお手伝いを、少しずつですがやっていきたいと思います」と宣言するBさんの姿は、はじめて出会った頃からは想像もつかないほど、自然体で堂々とした姿だったのでした。


Bさんの発表を聴いたオムロンの李さんは、オムロンの創業者・立石一真さんの“最もよく人を幸福にする人が、最もよく幸福となる”という言葉を引用しながら、「みなさんの発表は、家族を幸せにしたい、地域を幸せにしたい、いろんな人を幸せにしたいという気持ちがあふれていた。他人を幸せにすることによって、自分も幸せになるという素晴らしい取り組みだと思います」と力強くコメントしてくださいました。



最後にご紹介するのは、地域の社会福祉法人で働くCさんです。「人に優しくできるようになりたい」と思いながらも、長年上手く行動に移せなかったというCさん。わたし研究を始めた当初は「もういい年だし、今さら性格を変えるのなんて無理だろうなあ」と思っていたそうです。そんなCさんも、わたし研究をするなかで、ご自身に変化があったと語ります。


わたし研究の中では、チェックイン、ワーク、チェックアウトと、自分が思っていることを話す機会がたくさんあります。そのなかで「全く否定されずにうんうんと話を聞いてもらうと、今まで忘れていたことや心の奥底に沈めていたものがどーっと出てきたり、じわじわとにじみ出たりしてきた」とCさんは語ります。なかでも、ご自身にとっての転機になったのは、自分が両親から受けた影響を発見する4回目の講座のワークだったそうです。


ワークを通して、それまで気づいていなかった母親の愛情を発見し、感謝の気持ちがわき出てきたというCさん。すると、これまでずっと抱いていた「人に認めてもらいたい」という気持ちが消え、「無理して認めてもらわなくても私は私だ」と思えるようになったのだそうです。


「人に優しくするためには、まずは自分の心を解き放つこと。奥深くに眠っている本当の気持ちに気づくことが大切だとわかりました」というCさんの言葉は、会場にいたすべての人に響いていたのではないでしょうか。


そんな彼女の研究テーマは「人に優しく 心に寄り添い 心のあかりを灯す人になる」。軽く自由になった心で、相手の心に優しく寄り添うことで、周りの人の心も軽く自由に、幸せにできるようになれたら、と笑顔で語られていました。


ゲストメッセンジャーのおひとりである園田理事長は、Cさんが働く社会福祉法人の経営者であり、Cさんの上司でもあります。「いつもリーダーとして現場に愛を与えてくださっているCさん。Cさんがこれまで抱えていた想いを知り、法人としても、彼女の掲げるテーマを地域に向けて一緒に実践していきたいと感じました」と心からのメッセージをCさんに贈られていました。


その他にも、2期生のみなさんお一人おひとりが、ご自身にぴったりの「研究テーマ」を発見されていました。みなさんの研究テーマはこちらです。

・人に優しく 心に寄り添い 心のあかりを灯す人になる

・“わたしが変われば、地域が変わる。”を広めるお手伝い

・人生楽しく生きる!

・わたしらしいエコな暮らしを見つける

・役に立つ喜びを感じて生きる

・わたしらしく生きる、子どもがきらきら輝く

・家族に気持ちを伝えながら 支えていける自分になる

・みんなのやりたいを 叶える拠点をつくる

・豊能町で困っている方々の 人生の一部のお手伝い

・図書館でみんなのしあわせのタネをまく、しあわせの花を咲かせる

・人として ~豊能町の人として、日本人として、地球人として、人とのつながりを育んでいきたい~

地域ために何かはじめようと決心された方、活動の拠点を提供したいと望まれる方、家族やまわりの人を幸せにしたいと一歩踏み出された方…

みなさんのテーマが交わることで、さらに新しいことが生まれそうな予感もします。

発表を聞いた会場の皆さんからは、研究生のみなさんに向けてさまざまな応援メッセージが寄せられました。


「わたし研究を始める前は、子育てや生活が大変そうに見えていました。そんななか、この講座に参加して、“自分でもちょっと変わったと思う”という話を聞いていて。確かに最近の様子を見ていると、前より笑顔が多くなり、子どもに対しても優しくなったと思います。」(夫)


「自分が思っていることを、自分の言葉で、自分のスピードで語る姿が、すごく美しくて尊かったです。話されていることの中に、自分にも響く言葉がありました。久しぶりに自分自身への問いが始まる感覚を味わいました。」(まちづくり関係者)


「わたし研究室は、懐の深い取り組みだなと。まちづくりの中では“どんなプロジェクトをするか”という実現目標を決めることが多いなか、ここではそれ以前の、一人ひとりの行動の基本原則を見つける段階をサポートしてくれる。“わたし”から始めるということは、何にでもなれるという可能性を持っているということ。これからがとても楽しみです。」(ゲスト)


みなさんのコメントから、研究生の方の発表が、会場のみなさんの心にもしっかり届いていることがわかります。わたし研究をした方も、そうでない方も、「わたしらしい生き方とは何か」を立ち止まって一緒に考えられる時間になったのではないでしょうか。


また、会場には、塩川町長をはじめ、多くの豊能町役場の職員さんにもお集まりいただきました。

ある職員さんからは「我々行政の立場からすると、『わたし研究室』のような取り組みを役場でやっていいのか?そんな事業あるのか?と当初は不安もありましたが、発表会を拝見し『豊能町にお住いの女性の皆さん、非常に優秀やん!』、『役場の職員もなかなかやるやん!』と感じておりました。発表のなかで、わたし研究室に参加してよかった、豊能町に住んでよかったという言葉を聞けて職員としても嬉しく思っています」と熱量あるコメントをいただき、主催された町役場の想いにも共感が広がる場面がありました。



さらに後半では、前年度の「とよのわたし研究室」第1期に参加された研究員さんを代表して、滝本弥生さん・三好麻理子さんのお二人が登場。ご自身の発表会から9ヶ月経った、現時点での近況をお話ししていただきました。


「『やってみたい』を応援する場づくり」を研究テーマに掲げていた滝本さんは、現在お仕事で新規事業である地域交流スペースの企画運営を担当。職場のご理解もあり、1期生のミーティングや活動の場としてスペースを提供するなど、まさに研究テーマを着実に現実化されています。今後はこの場を活用してワークショップやイベントなどを企画するほか、「2期生の皆さんが活動する場としても使ってもらえたら」とお話しされていました。


また、「とよので暮らす人たちのしあわせサポーター」を研究テーマに掲げた三好さんは、今年8月に市民団体「とよのわたし研究室」を発足。自分らしく生きる人がいっぱいの豊能町を目指して、「自分らしさ診断」などの活動を有志の1期生メンバーと共に実施されています。


「自分さえよければそれでいいと思っていたわたしが、わたし研究を通して、人や地域のために何かしたいと思えるようになりました」と三好さん。「とよのわたし研究室のメンバーは、もうひとつの家族です」と語り、「2期生の皆さんとも、一緒に団体活動ができたら嬉しいです」と笑顔で発表されていました。

















このように、1期・2期と継続したからこその発展を感じることができた、今回の「研究テーマ発表会」。さらにみなさんの発表後は、会場の皆さんと研究生たちが一体になって、これからの豊能町の未来を考えるミニワークショップを実施しました。

お題は「次は、豊能町でどんな取り組みにチャレンジしたら良いだろう?」


まちづくりに活かせるアイデアが盛りだくさんの、白熱したワークショップになりました!

詳しくは、後編に続きます。

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