• こころ館研究員

「ムモクテキカフェわたし研究室(全10回)」が完結しました|企業研修


数多の観光客がひしめく、京都・寺町商店街。

その一角にひときわお洒落な雑貨屋さんが目に入ります。


それが、今回研修をお届けした「mumokuteki」さんのお店です。



https://mumokuteki.com/cafe/cnews/2576

原宿系アパレル「SPINS(スピンズ)」やインポートセレクトショップ「GALLERIE(ギャレリー)」などで有名な株式会社ヒューマンフォーラムが提供するブランドのひとつ「mumokuteki」。mumokutekiは「いきるをつくる」をコンセプトに、上質な雑貨、衣類、食、農業、スクールなど、さまざまな形の”いきる”を豊かにするスタイルを提案されてきました。


この建物の2階でひときわにぎわいを見せるのが、今回私たちが内省教育研修「わたし研究室」を行った「ムモクテキカフェ」です。

食材にこだわり、からだに優しい食事がいただけるこのお店。地元の方から観光客まで、連日行列の絶えない人気のカフェとしてご存知の方も多いのではないでしょうか。



https://www.mumokuteki.com/blog/


そんな売れっ子のムモクテキカフェで、

なぜ「わたし研究室」が導入されることになったのか?

そこには多忙な人気店ならではのある悩みがありました。




深まらないスタッフの関係性


それは、スタッフの関係性についてです。

常にお店が忙しく、お互いにゆっくり話す時間も持てない。

余裕のなさから生まれてくるすれ違い。

そんな状況の中で、スタッフ同士のつながりがいつしか希薄になっていたようです。


折しもカフェは、もうすぐ店舗をリニューアルするタイミング。

新メニューの企画や新しい内装のアイデアなど、決めることは山積みでしたが、このままメンバー内で話し合いを進めていくことができるのか。

この状況では、mumokutekiのコンセプトである「いきるをつくる」を本当にお客様に提供することができるのだろうか。


mumokuteki事業部長である今出さんは、このようなカフェの現状を課題に感じていました。そこで、ひとりひとりが自分自身やチームの働き方を本質から見つめ直す「わたし研究」に取り組むことが必要ではないか、と考えられたそうです。





mumokutekiでは昨年度、セレクト雑貨や衣類の販売を担当するグッズ部門でも「わたし研究」を実施されています。1年間(全10回)の研修の結果、それぞれの個性が磨かれて仲間同士の理解が深まったことで、メンバーがより積極的に仕事に打ち込めるようになったり、部署内の人間関係がより活発になりました。


その結果をふまえ、今回のカフェ研修でいただいたオーダーは「ひとりひとりが内面から変わるチームビルディング」です。

ひとりひとりが自分自身を見つめ直すことで、メンバー同士の関係性を深めることを重点に置きながら、同時にブランドコンセプトである「いきるをつくる」を働くメンバーにも実感してほしい。

そんな今出さんの想いから、ムモクテキカフェのわたし研究室はスタートしました。





わたしを研究することで、チームがひとつになる


2018年5月、まずは今回研修を受けるカフェメンバー8名の個人面談を行いました。


その後は、翌月から今年の2月にかけて計8回のワークショップを実施。


一級建築士さんと一緒に夢のキッチンを考えたり、

自分らしさとは何かを考えたり、

時にはインタビューワークでお互いの気持ちを引き出し合ったりもしてきました。








はじめの頃は緊張感もありましたが、「わたし研究」が進むにつれて、普段話したことのなかったメンバーの過去や生まれ育った背景を知っていくなかで、他のメンバーへの共感が生まれはじめた皆さん。


だんだんと「ここでは何を言っても皆が受け止めてくれる」という”安心感”を口にする方が増えていき、チームとしてのまとまりが見えてくるようになりました。







ムモクテキカフェで実現したい、これからのわたしらしい働き方


こうして、ムモクテキカフェが「わたし研究」をはじめて約9ヶ月。


2月20日に迎えた最終回では、ヒューマンフォーラム会長の出路さんや他部署のリーダーの方々を招いての「研究テーマ発表会」を行いました。


研究テーマとは、わたし研究で見つけた「これからのわたしらしい働き方」です。

発表では「研究をする前のわたし」「わたし研究の中で」「わたし研究の結果」そして研究テーマについてをひとりずつお話していただきました。





カフェメンバーのOさんは、ご自身の仕事に向き合う意識の変化についてお話して下さいました。


わたし研究で”仕事に不満をもつ自分”と向き合ったことをきっかけに、「なんで俺がやらなあかんねん」と思っていた人が嫌がるような仕事を、徹底的に自ら進んで取り組んでみたというOさん。

すると、不思議と気持ちがスッキリして、いつしか仕事を楽しめるようになったのだとか。

さらに、自主的にプラスアルファの仕事にも取り組むようになり、それに気づいた他のメンバーから感謝してもらったのが嬉しかったと語ります。


「気づいてもらえなければ、自分からアピールするようになりました!」と笑うOさんに、出路会長は「お前変わったな。自分に厳しくなった」と感心しておられました。






また、カフェ勤務歴が最も長いIさんは、「一番長く働いているのだから、自分が一番しっかりしなければ」と自他共に厳しく仕事に向き合ってきた方でした。時には自己犠牲的に働き、そんな自分をしんどく感じることもあったというIさん。


しかし、わたし研究を通して同僚への理解が深まったことで、仲間をもっと信頼できるようになったといいます。その結果、相手に対して以前よりも優しくなれる自分を実感しているのだとか。






発表を聴いていたゲストの皆さんもIさんの変化を心から喜び、「これからますます幸せになってほしい!」とエールを送られていました。




みんながいたから、気づけた


さらに、「わたし研究」の中で仲間から受けた影響について語っておられる方もたくさんいらっしゃいました。


はじめの頃は「これを言ったら自分がどう思われるかが気になって、なかなか気持ちを開示できなかった」というIさん。しかし、一緒に研修を受けている仲間がどんどん自分をさらけ出していくなかで、逆に本音を出せていない自分が不誠実だと感じるようになったといいます。

そして、勇気を持って少しずつ気持ちを口に出してみよう、と思えるようになったのだそうです。





また、「研修の終盤までなかなか自分の課題を直視することができなかった」というAさんは、まわりのメンバーが次第に変化していくなかで「自分だけが変われていない」と焦る気持ちがあったそうです。

でもその焦りとモヤモヤが、本当に自分が向き合うべき課題に気づくきっかけになったのだとか。


「みんながいなかったら、気づけなかったことがたくさんありました。このメンバーでわたし研究をさせてもらえて本当によかった」と仰っていました。





他にも


「全然自分が好きになれなかったけれど、最近は自分に”今日もがんばったね、ありがとう”と言えるようになりました」


「カフェに異動して日が浅く、研修も途中からの参加になりましたが、今ではここがわたしにとって居場所であり帰る場所になっています。これからも家族みたいな関係性がつくれたらと思います」


「楽しいことは分かち合い、違うことは”違う”とはっきり伝えられるのが家族のようなチーム。今後も皆が本音を出せるような機会をぼくが企画します」


などの声があり、発表会の会場は、一体感に包まれていました。





最後に、mumokuteki事業部長の今出さんの発表です。


昨年度に続き2回目の「わたし研究室」となった今出さん。今回の研修は、カフェの担当に着任してまもない頃に始まったそうで、個人として、リーダーとして、さまざまな想いを抱えながら臨まれたものでした。

どのような想いを抱かれていたのか、ご本人の発表から一部内容をご紹介させていただきます。





わたし研究をする前の自分

僕がcafeの担当になって一番初めに全員とミーティングしたのが2017年の12月の末ごろでした。全員と話して見えてきたことは、ざっとまとめるとこんな内容です。


・mumokuteki cafeのお客さんからの見え方と実態の乖離から危機感がある

・人数不足、長時間の労働と日々の忙しさからの慢性的な疲弊感を感じている

・自分たちで作り上げた事が無く、どうしていいのか分からないことへに不安感しかない

・長年の積み重ねでもある、ホールとキッチンの分裂が解消されない

・情報共有が無いためにコミュニケーション障害が起きる

・仕事が個人に集中し、同じ事を淡々とやる毎日


そのなかでも僕が一番心に残っているショックだった言葉が


「なによりも仕事が楽しくない、作業でしかない」

「自分の働いている意味と価値を感じれないまま歳だけを重ねていく」

「ヒューマンフォーラムらしさが何なのかわからなくなっている」


というものでした。

僕はこのチームに一体何ができるのだろうか。どうして「素晴らしき仲間の集い」の企業理念の会社で、仕事を通じて仲間が幸せになれていないのか。

今までの組織の作り方ではないやり方が、今こそ必要じゃないのか。


そんな不安の中、こころ館の「わたし研究」は始まりました。



わたし研究を受ける中で

はじめのころのcafeでの会議は僕にとって本当に苦痛を伴ったものでした。


いつもなら個人との関係性がある中でのチームビルディングでしたが、今回ははじめて担当する部署で、全くの異業種。現場に一切入った経験が無い中でのマネジメントという僕とみんなの関係性が希薄だったこと。

そして何よりも、一人ひとりが全体意識はあるけど一歩踏み出せず、回りの目や出方を伺う空気感が風土として定着してしまっていて、会議が終わると精神的な疲れがどっと出来ていたのをおぼえています。


そんな僕の心の中はというと、店長やリーダー、そして社員という役割と責任を求め、もちろんそこには、こうなって欲しいという、個人への願いやチームへの愛情も確かにありましたが、結果を求めイライラがつのっていました。





僕のメンバーひとりひとりに対する個性認知が進みだしたのが、4回目のワーク「自分らしさ度診断」のころからでした。僕は「人の目を気にしすぎていて自分らしくいれないタイプ」でしたが、自分らしくいれないのはどういう時かをチームでワーク・共有することで、他者から見えている世界では自分とは全く違った事実が存在していることがわかりだしました。






5回目の「苦手な人を師として学ぶ」ワークは、僕にとってそれを更に加速してくれました。

これまでの人生はそれぞれに違うけど、一人ひとりの体験をチームで深く知って理解することから生まれてくるものがありました。そしてそれは、”応援”という形でチームを変えていきました。





6回目の「自己一致ワーク」や、7回目の「インタビューワーク」。

チームの関係性もこの頃から激変してしていきました。本当に一人ひとりが自分を見つめ、涙を流しながら自分の苦しかった体験、そして自分を共有する姿に全体のこころが揺さぶられました。こころの底からのギフトメッセージ。チームが柔らかく、温かく、居心地よく変化していきました。







わたし研究の結果

僕は自分の見たいことだけを人の中に見ていたということに気づかされ、人が見ている世界も今では少しですが見れるようになりました。そしてそれを、ありのまま事実として受け取っていくことで人生がとても楽になりました。


cafeの一人ひとりも、僕と同じく、今はありのままの姿でいることを本当にうれしく思っています。会議も楽しいし、言うべき事も相手を尊重しながら対話できるようになっています。何よりも未来に希望を持ち働く意義、意味を自分たちの中から出そうとする人生における態度は僕からみても本当に尊敬しています。


受ける前のチームと本当にみちがえましたね。


僕はみんなに自分に自信を持ってほしいです。

ここまで来れたのは、松原さん、そしてこころ館メンバーさんのサポートのお蔭ですが、乗り越えたのは自分たちです。その力をありのまま受け取ってください。

ひとりが変われば、チームが変わるを目の当たりにさせてもらい、心から感謝しています。


次はお客さん、そしてmumokutekiを一緒に次のステップへ導きましょう。

2019年度はそういう年にしていきたいなと考えています。




わたしの研究テーマ

リーダーをつくるリーダーになる。そしてmumokutekiを本物にする。





上司・リーダーという立場を超えて、ひとりのメンバーとして研修に参加されてきた今出さん。そんな今出さんに向けて、カフェメンバーからは尊敬と感謝のメッセージが伝えられていました。


すべての発表を聴き終えたヒューマンフォーラム会長の出路さんは、言葉を詰まらせながら「みんな、よかったなぁ。本当によかった」と仰って、それぞれの社員さんと握手を交わされていました。





そして、部門長の今出さんを「よくがんばったな」と優しく抱きしめておられました。





こうしてムモクテキカフェの「わたし研究室」は、高い熱量のうちに幕を閉じました。


わたしが変われば、チームが変わる。

こころ館ではこれからも、mumokutekiの皆さんと一緒にわたしらしい生き方・働き方が実現できる世界をめざしていきたいと想います。





そんなムモクテキカフェは、3月15日にリニューアルオープン!

https://mumokuteki.com/cafe/cnews/3424


メニューも内装もぴかぴかになって新登場します。

新しいカフェ、そして「わたし研究」をして内面からぴかぴかになったカフェメンバーの皆さんに、ぜひ会いにきてください。



【今回の記事を書いた人】

 青山絵美

 京都大学教育学部卒。大学4年間をこころ館のインターン生として過ごす。福岡・東京で映像メディアでのディレクター職を経験するも、人生に迷って体調を崩し、入社1年で退職。自分らしい生き方を見つけ直すべく、こころ館へ出戻りした。現在は代表の鞄持ちとして修行中。

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